巻き爪とは、爪の両端の先端部が、大きく内側に湾曲した状態を言います。
特に負担のかかりやすい足の親ゆびの爪になることが多く、爪を深く切り過ぎたり、先の細い窮屈な靴を長時間履き続けたりすることが原因で起こります。
また、爪が指の皮膚に食い込んで強い痛みが生じたり、場合によってはジュクジュクした肉が盛り上がったりすることがあります。
爪は深爪にならないようにし、窮屈な靴を履かないことが大切です。
巻き爪が進行すると、肉の部分に曲がった爪がどんどん食い込んでいき、次第に炎症や痛みを引き起こすようになります(陥入爪)。さらに、曲がった爪に巻き込まれた皮膚が化膿してしまい、歩くことが困難になるケースさえあります。
また、巻き爪の痛みから足をかばおうと、いつもとは違った歩き方をしてしまうために、足首や膝、腰にも負担がかかり、捻挫や膝痛、腰痛の原因になるケースもあります。
ですので、巻き爪は単に「見た目が悪くなってしまうだけのことだ」などと安易に考えず、きちんと治療することが大切です。
手術療法は、「巻き爪の変形の原因は爪母(爪の付け根の爪をつくる部分)にあり、変形した爪が生えてくる爪母をなくしてしまえば、変形した爪は生えてこない」という考え方に基づいて行われる治療法です。
内側に捲くれ込んだ爪と爪床(爪と接着している部分)と爪母の部分をメスで切り取る「鬼塚法」や、巻き込んだ爪のみを切除し、爪床と爪母に約90%のフェノールを染み込ませた綿棒で爪母を焼いてしまうフェノール法(陥入爪手術)などがよく行われます。
鬼塚法は術後の痛みが強いのが欠点で、フェノール法は鬼塚法に比べて痛みが軽くなります。いずれの方法も、ワイヤなどで巻き爪のクセを治す「矯正療法」と比較すれば、短期間で治療が終わるメリットがあります。
しかし、爪の幅が狭くなること、術後の痛みや、しばらく入浴を控える必要があるなど、日常生活に一定の制限がかかってきます。また、時には再発したり、爪の変形が見られたりするケースもあります。
爪を切る時に、爪先にある白くなっている部分を全部切り除いている人をよくみかけます。爪には指先・趾(足の指)先の皮膚を保護する役割があるので、爪をあまり短く切っていると指先・趾先の皮膚がガサガサになったり、指先・趾先に亀裂(ひびわれ)を招いたりしかねません。爪を短く切ったために起きる皮膚の荒れや亀裂は、爪を長く伸ばしておくと予防できます。また、巻き爪の原因にもなりますので、爪は短く切らないようにしましょう。
超弾性ワイヤ(マチワイヤ)や形状記憶合金プレート(マチプレート)を使用し、湾曲した爪を徐々に広げ、矯正していく方法があります。ただし、保険適応外ですので、費用については全額自己負担していただくことになります。他院へご紹介いたします。