いぼは、ヒトパピローマウイルス(ヒト乳頭腫ウイルス)が皮膚のごくわずかな傷から侵入して感染することによって発症します。
手足や皮膚の薄い箇所にできやすく、痒みや痛みなどの自覚症状はほとんどありませんが、触ると大きくなったり、他の部位へうつったりすることがあります。
また中年以降から首まわりに小さないぼができ始めることがあり(首いぼ)、人目につきやすいことから気になさる方も少なくありません。
このいぼはウイルスが原因ではなく、皮膚の加齢に伴い出てきます。
いぼができたからと言って、自分で引っ掻いて治そうとすると、かえってウイルスを撒き散らして増やしてしまう可能性がありますので、いぼを見つけた際は、数が少ないうちに皮膚科で相談しましょう。
また、稀ながら悪性のものもあるので、それらとの見分けをつけるためにも、皮膚科への受診をお勧めいたします。
皮膚科でのいぼの治療には、液体窒素凍結療法(冷凍凝固処置)、電気焼灼法、内服療法、外用療法などがあります。
個々の患者さんに最も適していると思われるものを選んで治療を行います。
なお、どの治療法によっても、多くの場合、1回の治療で治ることは難しく、何回か繰り返してやっと治ることが多いです。
週に1回程度通院していただいて治療していきますが、あまり完治を焦らず、気長に治していく気持ちが大切です。
子宮頸がんやある種の皮膚がんが、いぼのウイルスによって起こる可能性が指摘されています。
しかし、いぼのウイルス(HPV)にはたくさんの型があり、子宮頸がんがHPV16型、疣贅状(ゆうぜいじょう)表皮発育異常症に生じる皮膚がんがHPV5型など、がんを起しやすいHPVの型が決まっているらしいことも知られています。
しかし、こうしたケースのウイルスは普通のいぼとは全く違う型のHPVが原因ですので、通常のいぼががん化するようなことは、基本的には無いと考えて良いでしょう。
正しい治療を行うためには、正しい診断をつけることが大前提です。
いぼもうおのめもたこもありふれた皮膚病ですが、いろいろな皮膚病の可能性が混ざっていて判別がつきにくいケースあります。
いぼの治療に際しては、まずは皮膚科を受診し正しい診断を仰いでください。