皮膚に生じた「できもの」のことを皮膚腫瘍と言います。
腫瘍とは組織の一部が病的に変化し、増殖したもので、下表のようにいろいろなものが知られています。
腫瘍は、大きくは良性と悪性の2種類に分けられ、良性腫瘍は一般に増殖が緩やかで生命をおびやかすようなことはありません。
一方の悪性腫瘍(がん)は近くの組織に進入したり、遠隔転移したりして増え続けていき、生命にも影響してきます。
一見、ほくろやしみなどと紛らわしい皮膚がん(悪性黒色腫など)もありますので、皮膚に気になる変化が生じましたら、早めに皮膚科でご相談ください。
毛穴の奥で袋を作ってしまい、中に老廃物や皮脂が溜まった半球状の腫瘍。
皮膚の一部にメラノサイトという色素細胞が集まったもの。
皮膚のすぐ内側にカルシウムが沈着して、石灰様に硬くなる良性腫瘍。
顔面の皮膚表面付近にできる、直径1〜2ミリ以内の角質が入った袋。
汗管が増殖してできたもので、眼の下に多発する小型で扁平に隆起した発疹。
加齢(皮膚の老化)とともに増える、皮膚の良性腫瘍。
日光を浴び続けたことによる皮膚疾患で、皮膚がんのごく早期の病変。
表皮内部に生じるがんの一種で、増殖が表皮内に留まっている状態。
基底細胞がん(表皮の最下層である基底層や毛包などを構成する細胞が悪性化した状態)、悪性黒色腫(皮膚の色素を作る細胞が、がん化した腫瘍)などがあります。
今まで無かった黒い、茶色い、または赤い皮膚病変などが生じてだんだん大きくなってきたなど、気になる時は自己判断せず、また取ろうと思っていじったりせずに、皮膚科を受診してください。
外陰部の湿疹やたむしのような病変も、なかなか治らないような場合は、ためらわずに診てもらいましょう。
悪性の疑いがあれば、それに応じた検査をしたり、専門医療機関などをご紹介いたします。
早期に発見すれば、簡単な小さな手術で済むことが多いので、早めに皮膚科医に診てもらいましょう。
皮膚悪性腫瘍の多いオーストラリアでは、紫外線と皮膚がん発生についての研究が盛んですが、日焼け止めクリームががん前駆症の日光角化症や有棘細胞がんの発生を約30%減少させると報告しています。
皮膚悪性腫瘍の発症率の高い白人と比べて、日本人にこの数字がそのまま当てはまるわけではありません。
しかし、皮膚に紫外線をあてることは、いくつかの皮膚悪性腫瘍の発症原因と考えられているため、若い頃から普段の生活のなかで紫外線を回避するように努めることは重要です。
海水浴、スポーツ、仕事などで長時間の紫外線を受ける場合は、日焼け止めクリームを塗る、日焼け止めが含まれた化粧品を使う、帽子や日傘を使う、長袖を着る、など紫外線を避ける工夫をしましょう。
一方、皮膚悪性腫瘍の発症は、若い頃から暴露してきた紫外線の量と程度に左右されます。
そのため、若い頃にたくさん紫外線にあたっていた人が高齢になってから急に紫外線を避けても、発症を完全に予防できるわけではありません。
高齢になってから紫外線を避けても予防に関して意味が無いわけではありませんが、若い頃にたくさん紫外線にあたっていた人は、皮膚悪性腫瘍を早期に発見して治療することが重要と言えます。