粉瘤(ふんりゅう)はアテロームとも言い、皮膚の下に袋状のものができ、そこに角質や皮脂が溜まった状態のものを言います。
中央部には黒点状の開口部があります。
強く圧迫すると、開口部から臭くてドロドロした内容物が排泄されるケースがあります。
背中や耳の後ろ、耳たぶ、鼠径部(そけいぶ)、などによくできますが、毛穴がある場所なら、どこに生じてもおかしくありません。
いつの間にかできて、自然に小さくなることもありますが、少しずつ大きくなって目立ってくるケースもあります。
また、細菌が感染すると赤みや痛み、膿が出るようになります。
炎症を起こして、はじめて粉瘤に気づいたりもします。
細菌の感染がみられる場合は抗生物質の飲み薬で治療しますが、場合によっては中の膿を出す処置が必要になるケースもあります。
内服薬で症状が治まってくれば、そのまま小さくなるまで様子を見ます。
切開排膿後は、中から膿が出なくなるまで、局所の消毒洗浄を続けます。
化膿していない時、または化膿が治まったら、局所麻酔下に粉瘤を袋ごと取り出す処置を行います。
処置後は、翌日に傷の具合を確認し、1~2週間後に抜糸します。
手術は他院へご紹介いたします。
脂肪腫とは皮膚の下に脂肪細胞が増殖してできた本当の脂肪の塊で、粉瘤とは全く異なります。
脂肪腫より粉瘤のほうがよくみられます。
どちらも、悪性化することはほとんどありません。しかし、ごく稀ながら粉瘤ががん化したという報告があります。
粉瘤のがん化は、中高年齢層の男性の臀部に生じたものに多いと言われます。
それは稗粒腫(はいりゅうしゅ)というものです。
うぶ毛の毛穴の皮膚からできたもので、表皮嚢腫の小さなものと考えられています。
主に目の周囲に直径1~2ミリの白くて硬いブツブツがたくさん発生します。
乳児にできたものなら、自然に消えることがあります。
成人の稗粒腫は自然に消えることはありませんが、注射針で表面に小さな穴をあけ、内容物を押し出せばきれいに取れます。
この稗粒腫は、やけどや深めのすり傷が治った後にもできることがあります。