とびひは、正式には「伝染性膿痂疹(のうかしん)」と称し、皮膚への細菌感染によって発症し、人から人へとうつる疾患です。
特にアトピー性皮膚炎の患者さんは皮膚のバリア機能が低下しているためにとびひにかかりやすいので、要注意です。
掻きむしった手を介して、水ぶくれがあっという間に全身へと広がる様子が、火事の火の粉が飛び火する様に似ているため、「とびひ」と呼ばれます。
とびひには、水ぶくれが生じる水疱性膿痂疹と、かさぶたができる痂皮(かひ)性膿痂疹の2種類があり、特徴はそれぞれ下記のとおりです。
皮膚にできた水ぶくれが、だんだん膿をもつようになり、やがて破れると皮膚がめくれてただれてしまいます。
痒みがあり、そこを掻いた手でほかの場所を触ると、あちこちに広がってしまいます。とびひの多くはこのタイプで、主な原因は黄色ブドウ球菌です。
皮膚の一部に膿をもった水ぶくれ(膿疱)が生じ、厚いかさぶたになります。炎症が強く、リンパ節が腫れたり、発熱やのどの痛みを伴ったりすることもあります。
主に化膿レンサ球菌が原因となりますが、黄色ブドウ球菌も同時に感染しているケースが少なくありません。
とびひの治療には、主に抗菌薬を使い、細菌を退治します。
また、必要に応じて抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬、亜鉛華軟膏なども用い、痒みや炎症を抑えます。とびひは、ひどくならないうちに治療を始めると、より早く治せます。
掻きむしったところの滲出液、水疱内容などによって次々にうつります。プールの水ではうつりませんが、触れることで症状を悪化させたり、ほかの人にうつしたりする恐れがありますので、プールや水泳は完治するまで控えてください。
とびひは細菌が原因で生じる感染症のため、ウイルス感染とは異なり、免疫はできません。皮膚のバリアを侵してブドウ球菌や溶連菌に感染すると、何回でもとびひにかかる可能性があります。とびひにならないように皮膚を清潔にする、傷つけないようにする、爪を短く切っておく、手をよく洗う、などの予防こそが大切になります。