やけど(熱傷)は、日常生活において最もよく見られる外傷の一つです。
やかんやポットの湯、コーヒーやお茶、てんぷら油、またカップ麺のスープなどによる高温の液体によるやけどが多く、ストーブやアイロンなどへの接触によるものが、これに続きます。
やけどは高温のものが皮膚に一定時間以上触れると起こる皮膚の傷害です。
やけどは深さによって3つに分類されます。
また、50度前後のそれほど熱くないものでも長時間皮膚に触れると、やけどを起こします。(低温熱傷)
やけどをしたら、水道水などで、すぐに冷やすことが肝心です。
水道水で30分くらい患部を冷やしてください。
これにより、熱による組織損傷が深くなることを防ぐだけでなく、受傷した部位の炎症を抑え、痛みをやわらげることができます。
この場合、無理に衣服を脱がず、水道水などの流水を衣服の上から直接かけます。
治療は、下記のようにやけどの度合い(1~3度)により異なってきます。
赤みやひりひりした状態のやけどで、数日で軽快します。
特に治療しなくても治りますが、赤みや痛みを軽減するための塗り薬を使うことがあります。
水ぶくれができるのが特徴的で、赤みや痛みがあります。
比較的浅いやけどであれば1〜2週間で軽快しますが、深い場合ですと治癒に1ヶ月以上かかることがあり、傷あとを残すことも少なくありません。
治療では、赤みを抑える塗り薬や傷を小さくする塗り薬を使います。
やけどをした部位は黒色や白色になり、痛みが無いのが特徴的です。
治療は皮膚を移植するなど大きな手術を必要とします。
この場合は、こうした治療に対応できる大きな病院にご紹介いたします。
手術が必要なやけどは2度熱傷と3度熱傷です。
特に顔や手、肘や膝などの四肢の関節部位など、見た目や機能的に重要な部分では優先的に手術を検討します。
手術をすべき時期を失することが無いよう、主治医と十分にご相談ください。
やけどの傷あとがどのようになるのかはやけどの深さ、どんな治療をしたか、また個々人の体質も関係があると考えられています。
傷あとの治療には、副腎皮質ホルモンを含んだ軟膏・クリーム・テープを使う方法のほか、瘢痕を目立たなくする内服薬を用いる方法があります。
傷あとが顔についていたり、ひきつれがあったりして、見た目や機能的な観点から問題となるような場合には、植皮術や瘢痕形成術などの外科的治療を検討するのも良いでしょう。
この分野の技術は日々進歩していますので、一度主治医にご相談なさってみてはいかがでしょうか。